村上春樹さんのスピーチとこれからの日本人

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村上春樹さんがカタルーニャ国最小授賞式で原発事故について語りました。

■村上春樹さん「原子力、拒否すべきだった」

【パリ支局】スペイン通信などによると、スペイン北東部のカタルーニャ自治州政府は9日、作家の村上春樹さんに今年のカタルーニャ国際賞を授与した。

村上さんはバルセロナでの受賞スピーチで、福島第一原発事故について「(日本では広島・長崎の原爆投下に続く)2度目の核の惨事だ」と指摘。

  「我々日本人は原子力エネルギーを拒否すべきだった。安易に効率を優先する考えに導かれるべきではなかった」と述べた。

村上さんは、原発に反対する人々がこれまで「非現実的な夢想家」と呼ばれてきたとしたうえで、「今や原子炉が地獄の扉を開けた」と語った。

さらに、「我々は広島の原爆死没者慰霊碑に刻まれた言葉『安らかに眠って下さい。過ちは繰返しませぬから』を、再び心に刻むべきだ」と訴えた。


村上春樹さんがカタールニャのスピーチで東日本大震災に触れました。

「効率という安易な基準に流され、その大事な道筋を我々は見失ってしまった」

このメッセージは村上春樹氏の著書を愛読されている方々は

既に聞き覚えがあると思います。

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「ねじまき鳥クロニクル 第3部」に書かれています。

日本という国家が現在の時点で提供できるモデルはおそらく「効率」くらいである。

<中略>

考えてみてもほしい、

どうすれば効率がよくなるのか、

戦後の歳月をとおしてそれ以外の哲学、あるいは哲学に類するものを我々日本人は生み出してきただろうか?

しかし、効率性は方向性が明確なときに有効な力である。

ひとたび方向性の明確さが消滅すれば、それは瞬時に無効化する。

海の真ん中で遭難して方向を失ったときに、力のある熟練した漕ぎ手が揃っていても無意味なのと同じだ。

効率よく間違った方向に進むのは、どこにも進まないより悪いことである。

正しい方向性を規定するのはより高度な職能を持つプリンシプルでしかない。

しかし我々は今のところそれを欠いている。

決定的に欠いている。

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)  p331より


それは私にとって非常に印象に残った言葉だったので

付箋を貼っていました。

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村上さんは「効率」だけを求めた先に待っているピットフォールに

当時から気付いていたのでしょう。

村上さんだけでなく、原発が「ヤバイ」ものだということは

推進していた方々も知っていたと思う。

我々も知っていた。

でもそれを信じたくはなかった。

認めたくなかった。

その逃避の思想は「大惨事が起こるはずがない」という考えに帰結した。

だから「想定外」の事態ばかりが起こった。

今回の核問題は我々に大きなメッセージを投げかけていると思います。

東日本大震災は地球が我々に送った最後のメッセージなのかも知れない。

一人ひとりがこれを受け止め、どう動くかを真剣に考えたほうがいい。

もう「効率」は「非効率」と背中合わせだということは身をもって体験したのだから。

「日本にとって2回目の核の悲劇だが、今回は誰かが原爆を落としたのではない」

「われわれは自分の手で間違いを犯し、国を破壊したのだ」

全ては過去形。

既に起こってしまった事。

私たちの手でこの国は破壊されたと氏は語ります。

認めたくはないけれど、認めざるを得ない。

汚染が各地で広まっていることは事実として受け止めなければならない。

首都としての機能を失いつつある東京を見ればそれは明らかだ。

だが、まだ政府は認めない。

認めようとせずに「隠蔽」する。

本当の復興は、政府が私たち自身がこの国に起こった「破壊」を認めたときに

始まるのではないでしょうか。

安らかに眠って下さい。過ちは繰返しませぬから

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村上春樹さん カタールニャの国際賞スピーチ